新世言   4月号

 血のめぐりをよくしよう
                                  倫理研究所理事長  丸山 敏秋 

 
 北国をのぞけば、寒さはだいぶ和らいできた。この冬もヒートテック
とよばれる新素材の衣類が色々と開発され、ずいぶん売り上げを
伸ばしたらしい。
 しかし寒い屋外ではいくら防寒衣を着込んでも、指先の冷たさはな
かなか防げない。手足の指先から寒気が流れ込み、全身が冷えて
しまう。どうしたらいいか。
 以外に簡単な方法がある。五分か十分ほど、ジョギングや早足で
歩けば、指先までポカポカしてくる。その場で縄跳びをする要領でジ
ャンプをしてもいい。要は、全身運動で血のめぐりを良くすればいい
のだ。寒いとブルブル震えるのも、筋肉を動かして温めるためである。
 昨今の日本は内外に問題を抱えて、ひどく冷え込み、閉塞感に覆
われている。政治の貧困は今に始まったことではないが、国民はあ
きれ果てている。民主と自民の二大政党が互いに競いながら、日本
をよくする対策にしのぎを削るのならば頼もしい。ところが重要な案
件をめぐって各党とも内部で分裂対立し、見解が統一しないために、
いつまでも法案が通らない。
 首相は政権維持ばかりを考え、多くの政治家たちは選挙の票集め
に汲々(きゅきゅう)としているように国民の目には映る。官僚も所属
する省庁の利益を、財界は大企業の利益だけを優先しているので
はないか。国民の末端にまで熱い血がめぐってこないので、海外か
らの冷たい圧力がのしかかったりすると、たちまち凍傷に罹(かか)
ったように国全体の元気がなくなってしまう。
 国内の景気は冷え込んでいるのに、売ることのできない米国債を
大量に買いつづけているのはなぜなのか。外国の経済危機を救う
ために多額の税金を投入し、アジア・アフリカ諸国にはODAという
援助資金をばらまいてきた。無意味とはいえないが、国益を疎かに
してまで外国に貢ごうとする国は日本だけであろう。
 緊縮財政は日本のお家芸のようになってしまった。消費税の増税
はどれほどの効果があるのだろう。過去の例では一時的に税増収
となっても、消費が落ち込んでトータルな財源はマイナスになってし
まった。もっと公共投資に力を入れるような積極財政に転じられない
のか。国民は理解に苦しんでいる。
 まことに血のめぐりが悪い政治ではないか。国民が凍傷に苦しん
でいるのを、見て見ぬふりおしているようで情けない。政治家は一丸
となって、血のめぐりをよくする全身運動の号令を発してほしい。そ
れには、日本という国のあるべきあり方、進むべき針路を明示した
政策を堂々と打ち出すことだ。それなくして政治の信頼回復はあり
得ない。
 国民の側も、無関心を決め込んではいけない。選挙で一票を投じ、
政治に参画する権利と責任を一人ひとりが持っている。政界の動き
が加速化している今日、しかと眼を見開いて、自国の将来を託せる
政治家を選び、政策の適否を判断する良識を養いたい。

 

















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