新世言  2月号

あきら めない

          倫理研究所理 丸山 敏秋

 感動は、生きる力である。人はいつも感動を求めている。そして感動を
共有するとき、皆が一つになれる。
 ここ数年の間に、日本人を深く感動させ、熱狂させた出来事が二つあ
った。
 一つは、映画化もされた小惑星探査機「はやぶさ」の帰還である。2003
年五月に宇宙科学研究所が打ち上げて以来、七年もの間、宇宙空間を
なんと六十億キロメートルという壮大な旅をつづけて地上に戻った。しか
も、小惑星イトカワからサンプルを持ち帰るというミッションを果たしての、
堂々たる帰還である。
 2010年6月13日、「はやぶさ」が大気圏に突入するときの様子はイン
ターネットで生中継され、多くの視聴者を集めた。強い光を放って地球を
覆う大気圏に溶けていくその姿は、繰り返し報道されて、日本中が感動
に包まれた。

 その帰路に己れを焼きし「はやぶさ」の光輝(かがや)かに明かるかりしと

 美智子皇后陛下のこの御歌に、また新たな感動を覚えた。
 
 猛烈な熱に身を焼き溶かせて放つ「はやぶさ」の光は、まことに崇高だ
った。しかも、エンジントラブルという大ピンチを乗り越えての帰還である。
あの光は、決してギブアップしない精神の証でもあった。
 もう一つの出来事は、昨年七月にサッカー日本女子代表「なでしこジャ
パン」が女子ワールドカップの決勝戦を征し、世界一に輝いたことである。
しかも、一度も勝っていないドイツとアメリカを破っての快挙だった。
 当時、東日本大震災の原発事故で漏れ出た放射性物質の影響が深刻
に懸念されていた。津波の被災地の復興も、統一的なプランがなかなか
示されなかった。便乗的な復興増税が懸念され、猛暑の中で節電を強い
られ、国民の鬱積(うっせき)は溜まっていた。そんな中での「なでしこ」の
勝利に、列島は歓喜に包まれた。
 とくにアメリカとの決勝戦は、劣勢にめげない精神力とチームワークが
光っていた。優勝しただけでなく、フェアプレー賞を受賞したのも絶賛に値
する。そして最後まであきらめない姿勢は、国民に感動と勇気をもたらし、
大勢の被災者の励みになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


                                


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