新世言

新世言2月号つづき 

 「あ」は感嘆の言葉
 「はやぶさ」と「なでしこ」の感動がいかに大きなものであっても、時が
たつと薄れていく。しかしそれが深い感動であったのなら、思いでは記憶
の底から直ちに甦ってくる。両者に共通する「あきらめない」というメッセ
ージは、われわれの心にしっかりと刻み込まれているにちがいない。
 「あ」と発する心の声を、日々どれくらい聴いているだろう。昨日はどう
だったか。今日は聴いただろうか。
 日本語は「あいうえお」の母音が核になっている。日本語は「あ」から
始まるのだ。「あ」とは感嘆の言葉。物事に感じて口をついて出る声が
「あ」である。
 昨日まで蕾(つぼみ)だった鉢植えの花が朝に開いているにを見たら、
「あ」の声が自然に出てくる。花も咲くときには、「あ」と小さく叫ぶような気
がする。そうした「あ」の波動が共鳴して、心に感動という渦が湧き起こる。
 その「あ」も伸ばして重ねると「あーあ」と悲嘆(ひたん)の声になる。もと
もと大和言葉の「あはれ」は、悲嘆も含む感嘆の言葉だった。形あるもの
はいつか壊れる。物事はいつもうまく運ぶとはかぎらない。人生に悲嘆は
つきものである。たとえ悲嘆の声が出ても、「あきらめない」精神が失わ
れていなかったら、いつしか声は喜びの感動に変わる。
 物事てえものは、うれしい前にはきまって、心配事や悲しいことがある
んです。心配事や悲しいことから、うれしいことが生まれてくるもんですナ。
                          (古今亭志ん生「なめくじ艦隊」)
あたりまえのようなこの言葉が、感動経験の豊富な人であれば、味わい
深く思えるにちがいない。
 「はやぶさ」も「なでしこ」も新たな挑戦にむかっている。わが人生も挑戦
の連続である。感動を糧として、日々を乗り切っていこうではないか。

          新世言2月号
                         倫理研究所理事長 丸山 敏秋

 


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