新世言

 「ああ、おもしろいな」
                 倫理研究所理事長  丸山 敏秋
 

「近頃はストレスが多くて・・・・」と言う人の顔はみな曇っている。聞かさ
れる人の顔にも曇りが出てしまう。
 ストレスとはもともと、何らかの刺激によって体に生じた歪みの状態を
意味する。つまりホメオスタシス(生体の状態を常に一定に保とうとする
働き)が危うくなった状態で、その歪みが回復するときの反応をストレス
反応という。
 生物は適度なストレスがなければ、環境への適応性を失ってしまう。
ストレスもなくてはならないのだ。けれどもストレスが過剰になると、歪み
がひどくなり、病気になる。そうしたストレスに関する画期的な学説を提
唱したのが、ハンガリー系カナダ人の生理学者ハンス・セリエ(1907〜
82)だった。
 ユニークなアィディアは、ふとしたことから起こるものである。セリエは
十八歳の医学生だった頃、初めての臨床講座で教授について患者を診
て廻ったときに、あることに気づいた。ーー「なんだかどの病気の患者も、
みな同じような症状をしているな・・・・」。
 そういえばそうだ。患者は等しく元気がない。顔色は悪いし、食欲が乏
しい。熱があったり、熱はなくてもだるそうにしている。
 病人だから当たり前だと思うのが普通だが、若きセリエは「なぜそうな
るのだろうか?」と疑問を抱いた。この素朴な疑問がすごい。
 当時の医学では、それぞれの患者の症状を見分けて「あなたは00病
です」と、病気を特定するのが医者の第一の仕事とされていた。今日で
も同じかもしれない。
 やがてセリエはホルモンを研究する生理学者として知識と経験を積む
うちに、若い頃の疑問がよみがえってきた。それが、「どんな刺激によっ
ても引き起こされる共通の反応があるのではないか」という仮説となり、
ストレス学説とし結実していく。




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