新世言

足るを知る
               倫理研究所理 
丸山 敏秋
                                                                          、    
 あれから、同じような場面を何度か夢にみた。
 大勢で必死に山の上へと這うように進んでいく、急勾配なので、なかな
かうまく登れない。自分の周りには老若男女、肌の色が違う人もいる。誰
も何も持っていない。身ひとつでひたすら上を目指す。苦しくなって目が覚
めるので、夢のつづきはない。
 大震災の津波の襲来を、繰り返し映像で見たからだろう。実際に大津波
の跡のすさまじい瓦礫(がれき)の原を歩いたからでもあろう。原発の放射
能漏れも、悪夢の背景にはある。
 やがてそうした夢もみなくなるだろう。時の経過は、痛みや悲しみを静か
に癒してくれる。とともに、大事な戒めを忘れさせる力も時は持っている。
 被災者ではない大多数の国民から、時とともに震災の記憶がやや薄れ
かけているのではないか。だとしたら、気をつけよう。記憶を風化させては
ならない。
 地球も太陽も活動期に入っている。大きな地震や災害が、今日にも明日
にも身近で起こる可能性はあるのだ。断じて警戒を緩めてはならない。
 大震災で強く思い知らされたのは、現代人が重度の「文明病」を患って
いることだった。豊富な生活物資や機器に囲まれ、いつでも自由に移動で
き、簡単に情報を交換できる。それを「あたりまえ」と気にもかけないのが
文明病である。「あたりまえ」がいかにスゴイことかを皆が思い知ったのは、
つい先日のことだ。あれから、自分のライフスタイルが何か一つでも変わっ
ただろうか。災害に対する備えにぬかりはないだろうか。

       

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