新世言

        「どうせ」を使うなかれ

                      倫理研究所理事長  丸山 敏秋

 小学校教諭の若いSさんは、授業参観のあとで、保護者の一人から手
紙を受け取った。そこには丁寧な文体で、授業がとても活気があり、生徒
たちの態度がよかったと褒めてある。喜んだSさんだが、末尾に加えられ
ていた要望にギクリとした。
 「一つだけお願いがあります。先生は授業中、「「どうせ」」という言葉を
ニ、三回使っておられました。わが家ではこの言葉を子供たちへの禁句
としております。どうかその点、今後はご配慮いただきたく存じます」
 Sさんはすぐに文意が呑み込めず、考え込んだ。−−たしかに「どうせ」
という言葉を使ったかもしれない。「どうせ声に出すのだから、元気よくね」
とか。でも、それがなぜいけないのだろう?
 図書館に行き、いちばん大きな国語辞典を引いてみた。すると「どうせ」
には、1「いずれにしても」「どのようにしても」という意味のほかに、次の
ような意味もあると書いてあった。
 2「好ましくない行為、状態、判断などが、こちらの希望や意思に反して
成り立ってしまうことへの、あきらめ、またはふてくされた気持ちを表す」
(日本国語大辞典)
 この消極的・否定的な意味の「どうせ」を、授業中に使った覚えはない。
しかし、1の「どうせ」をよく口にしていると、気つかないうちに 2、の「ど
うせ」も使ってしまうのかもしれない。そういえば「どうせ自分はダメだろ
う」とか「どうせ生徒に話してもわからないな」とか思うことがよくある・・。
 そう気ついたSさんは、手紙の主に感謝の礼状を書いた。そして「どう
せ」の言葉を使わないようにし、頭の中からも消すように努めたところ、
心の落ち着きや積極性が増していくのを感じるようになったという。





 
未来は可能性に満ちている
 
 言葉の持つ力については、これまd 



 

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